TKくん、TDくん、5才と3才です。初めてのアトリエです。2人とも自閉症スペクトラムだということでした。どんなふうに遊んでくれるかな?
冷たいボールをさわってもらう間に、私は、スポイトで絵の具に水を足していました。「それ、何してるの?」と聞いてくれます。
これ、やってみる?と聞くと「ううん」。でも、絵を描きたいようなので、画用紙を渡して、好きなのを使って描いていいよ?とお話します。ポスカが人気でした。くっきりした線が描けるのが楽しそう。
何枚目かで、THくんが、画用紙の幅いっぱいの斜めの線を引いていきます。スッキリした絵なのです。後で、写真を見ておどろいたんですが、斜めの線2本は、きれいに平行です。そして、三角形が4つ出来てますが、ほぼ均等な三角形なのでした。すごいなあ。。!たしかに、ゆっくりていねいに一筆書きのように線を描いてました。でものびやかに描いていました。最初の15分で、この落ち着き具合は、素敵です。スッキリ見えたのにはこんな理由があったのだなあ。。
それを嬉しそうに見せてくれた後、その画用紙は、くるくる丸められて、お母さんに渡してました。お母さんは、「ありがとう」と言って受け取ってます。この「ありがとう」を、お母さんも2人も、よく使うのでした。TDくんも、ポスカを選んで、キャップが固くて開けにくいので、開けるのを手伝うと、「ありがとう」と言います。すごく自然なのです。この「ありがとう」を聞くと、ああ、今、落ち着いて待っててくれたんだな、とわかります。句読点みたいに、大事なことに使えるんだと思いました。
気持ちのいいありがとうは、気持ちよさが伝わるのだなあ。相手の呼吸と自分の呼吸、そのちょうどいいところに言う。句読点みたいなありがとう。そして、自分の呼吸、集中は途切れないのです。
2人ともおしゃべり好きですが、新しい遊びを準備すると、すーっと静かになります。もう、いろいろ味わっているようなのです。紙粘土も砂遊びも、集中が始まっていくのがわかります。そうしたら、お好きにどうぞ、です。集中が途切れたら、そこで一区切りして、ちがう遊びを始めます。
みんなで絵を描いてみようかな?と言って、画用紙をハケで濡らし始めると2人とも、吸い込まれるように、見ていました。スポイトで絵の具を落としていくと、ひとつポトン!と色が落ちるたびに、みんなで味わってました。しん、となるのでよくわかります。
TDくんは、途中で、紙粘土に色を付ける遊びに戻ってました。THくんとお母さんは、最後まで水彩の色を味わってました。
その絵が完成して、最後に画用紙をよけたときTHくん、「それ、持って帰れるの?」と聞いてくれました。うん、持って帰れるよ、と言いながらこれ、言われると、うれしいんですよ、とお母さんにお話しします。
家で遊んでいるときより集中して遊んでいたそうです。いろんな経験をさせてあげたいと、このアトリエに来てくれたのでした。
アトリエの役割は自分の自由な感覚に出会って遊んでもらうこと。子どもさんも、おとなも同じです。
これがちゃんとわかるまでに、けっこう時間かかっちゃいました。最初の頃のお客さんに、もっとこうしてあげたらよかったなあ、と時々思い出します。いろんなお客さんのおかげで、アトリエの方向が見えてきたのでした。
ネコの霧島くん、新しいお客さんが来てもぜんぜん平気で、寝ていました。「あー寝てるー!」とTDくんがときどき振り返ってネコを見ます。私はネコが寝ているのを見ると、ホッとするんですが、TDくんも、たぶん、そんなことを味わいながら、遊んでいたのかなと思います。

写真-1 左上がTDくん、描き具合を味わっているようです。右がTHくん、線と空間を味わってる感じ、します。こんな気持ちのいい平行の線は、なかなか描けないなあと思うのです。

写真-2 紙粘土、手触りを遊んでます。私の作ったウインナーソーセージに、トッピングしてくれました。

写真-3 写真最初の方は私も参加していて、写真は撮ってないので、これは、後半の写真です。何度も、おお♡と思いました。THくん、丁寧に色も感触も味わっていました。

写真-4 1人で、水彩を遊びます。いろんなことを試していました。空間を大事にして、おしまいにしていました。

写真-5 紙粘土の重さから、味わっている感じでした。いろんな味わい方、遊んでもらえました。

写真-6 最後、あと少し時間があったので、砂で遊びました。アイスの棒と、パレットナイフが活躍します。切り分けるのも、ペタペタならしていくのもおもしろいのです。
